浮かんだのはニアカイでした。
需要がないのはわかっていますがある程度萌え消化しないと戻れない気が……。
R15くらいで。
※青年ニーアとカイネ。Eエンドの数年後?
なにもかもはじめての感覚だった。
肌を撫でる掌は、唯一愛情を持って自分に触れてくれた祖母の懐かしくもあたたかなそれとは明らかに異なる熱を持っている。
唇を塞ぐ柔らかな弾力と割り入ってくるなまあたたかい舌。
心地良い感触に酔いしれ、胸が締め付けられるような幸福感に満たされて白んでいく頭の片隅にはしかし、どうしても拭えない戸惑いが突っかえていた。
「…待、て、ニーア…」
重なった唇の間にわずかな空間を作って零した己の声が驚くほど甘くかすれていることに狼狽しながらも、カイネはニーアの胸を手のひらで軽く押した。
「…なに?」
ニーアの声もまた熱っぽくかすれている。
「本当に、解ってるのか…私は…」
両性具有――女でも男でもある。
出会ってすぐ、ニーアはその事実を当たり前のように受け止めてくれた。
けれど頭で理解することと視覚が脳に伝える実際の情報とに差異が生じないとは限らない。ニーアが己を女として見てくれていることをカイネは知っている。だが今まさに彼は自らの手でその化けの皮を剥がそうとしているのだ。全てを突きつけられても尚、彼は目の前の異形を愛していると言えるのか。
「カイネ……」
ニーアはカイネを見下ろし、全て察したような微笑みを浮かべた。
「わかってるよ。さっきから太腿に当たってるし」
「……!!」
密着した腰を更に強く引き寄せ、ニーアは続ける。
「ちょっと変な気分ではあるけど。でも嬉しいよ。キスだけでこんなに反応してくれるなんて」
「……お、お前だって!」
カイネの腹にも固いものが押し付けられている。
戸惑いが霧散していく。
歓喜で瞳が潤んだ。
「カイネの全部、愛しいんだ。今からそれを伝えるから」
切なげに眉を寄せて微笑むニーアの顔が涙でぼやける。
私もお前が愛しくてたまらない――
カイネは目を閉じ、彼に全てを委ねた。