`f さんのお宅で見つけて面白そうだなーと思っていたバトン、やってみました。(`f さん、勝手に頂きましたよ~)
短文作るバトンですが、ちょっと長めです。
キャラを当て嵌めたものは( )に表記。何もないのはオリジナル?です。
【明るいお題で泣くバトン⑤】
※次のお題で短文を作って下さい。ただし内容はシリアス限定です。
▼花を贈ろう (ティファ→エアリス)
今では当たり前のように目にするようなった。
近所にオープンした花屋、誰かの家の軒先の鉢植え、街はずれの公園の花壇、ピクニックに出かけた草原の野の花。
ねえ、あなたの知らない花はどれ?
それとも、全部知っているのかな。
花を見るたび、私はあなたを思い出すの。
だから、私の目に映った花はみんな、あなたへの贈り物。
ねえ、届いている?
ねえ、きれいだね。
あなたに似て、とても。
あなたの愛した花々は今日も生き生きと咲き誇っているよ。
あなたが守った、この世界で。
▼誰よりも大切な人 (クラウド→ティファ)
何よりも大切で、誰よりも愛してる。
問題を抱えたままでも、離れようと思ったことなど一度もない。
君を、子供達を、守りたい。俺の全てを懸けて。
けれどその資格も希望も失った俺は何も告げずに消えることしか出来なかった。
▼太陽の下で (エアリス→ザックス)
ミッドガルを出てから初めて仰いだ空は、プレートの上で花を売りながら一人見上げていた空と同じもののはずなのに、なぜかずっとずっと広くて青かった。
あの人がわたしに見せたいと言っていた空は、きっとこんな空だったんじゃないかな。
あなたは傍にいないけど、わたし、この空の下を行くね。
白い雲が流れていく。まるであの人のような。
追いかけて行けばその先で、あの人がわたしを待っていてくれたら…だなんて
花びら一枚分の夢を密かに抱いて。
▼傍らの温もり
天に召されたあの子の温もりは、いつもわたしの傍らにあった。
りんりん、と
誰もいない昼下がり、ソファーでうたた寝しているわたしの耳元に、かすかだけれど馴染み深い音色が聞こえる。あの子の首にわたしが付けてあげた、銀色の小さな鈴の音だ。
りんりん
ああ、また来たの。
そうだね、一緒にお昼寝しようか。君が生きていた頃みたいにね。
わたしがこうやって寝そべっていると、いつも傍に来て丸くなっていたよね。
本当に寝ているの?って確かめるみたいに、わたしの顔を覗き込んで。
君の小さな小さな寝息と、ぴんと跳ねたひげがわたしの頬をくすぐる感触も、ついこの前と同じ。
りん・・・と、不意にあの子が起き上がる気配。そして次第に遠くなる。
どうしたの?お昼寝しないの?
・・・もう 行ってしまうの?
君が行ってしまったら、わたしはまた泣くよ。
りん りん りん――もう行くよ、ごめんね、泣かないで
鈴の音が、最後の別れをわたしに告げる。
りん りん りん――さようなら、ありがとう、さようなら
いつも傍らにあった温もりが消えてしまった、昼下がり。
あれから鈴の音は聞こえない。
▼幸せな夢を見た (500年後のナナキ)
――ナナキ!
夢の中で私の名を呼ぶ声はいつも、懐かしい彼らのうちの誰かのものだった。
今日は魔晄色の瞳を持つ青年が私に指示を出す時の。
でもある時は、
私の背に乗っておかしな口調で話しかけるロボットの声。
熱血漢なのは良いが、耳元で叫ばれると少々迷惑な声。
パイロットの腕は一流だが言葉遣いは見習えない男の声。
寡黙だが言葉にいちいち重みのある男の呟くような低い声。
何かたくらんでいるのがそのまま表れている悪戯っぽい少女の声。
何が食べたいかと私に目線を合わせて問う優しい声。
しきりに私の鼻を撫でては子ども扱いした、けれど心地良い手を持った女性の声。
苦楽を共にし、不思議な絆で結ばれた彼らの。
脳裏には私を呼ぶ彼らの声が。
瞼の裏には彼らの勇姿と笑顔の残像が。
胸の奥には彼らと過ごした日々の思い出が。
全て焼き付き、刻まれ、決して忘れ得ぬ結晶となって今も輝き続けている。
だから私は時々
こうして500年前の夢を見ては、子供の頃に戻って微笑むのだ。
――― ナナキ!
ねえみんな。
オイラは今も、ここにいるよ。
お疲れ様でした。最後に、次に回す人を指定して下さい。
→フリーで。
書くのが楽しかったです。オリジナルとか初めてで恥ずかしいけどバトンだから書けた。
このお題、「泣くバトン+シリアス」じゃなかったら全部クラティで書きそう(笑)